読書のエッセンス

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ワーク・デザイン【書評・感想】個の時代の到来

ロボットの進歩からメーカーズ革命、クラウドファンディングクラウドソーシング。

働き方の常識が昔とは違ってきており、どこか釈然としないまま、働き続ける人が多い現在。

昔のように、上司から言われたことを黙ってやっていればよい時代ではなくなった。

私たちはどう働き、どう生きていけばよいのか。

 

【著者】長沼 博之

著者は経営コンサルタントという仕事上、大企業や中小企業、業界問わず様々な人の話を聞いてきた。そこで、現代の雇用・労働をはじめとする様々なシステムは、もはや加古の遺物になったと確信。そして、次の時代の働き方を書き記したのが本書である。

 

【内容】

ロボット革命が仕事を奪う

日本でも利用者が増えている全自動掃除機ルンバ。サボりもせず、文句も言わず部屋の掃除をしてくれる優秀なロボットだ。面倒くさい仕事を人間の代わりにやってくれている。しかし、こうも考えられないだろうか。「ロボットに仕事をとられている。」と。

 

こういった例はルンバだけではない。今やロボットはどの工場でも大活躍だし、某回転ずしチェーン店ではお寿司も握っているという。

 

当然、従来はそこで働いていた人がいるわけで、その分雇用が減っている。

ではいずれ人間の仕事は全てロボットに奪われるのだろうか。

 

そんなことはない。ロボットに命令する仕事は必ず残るだろうし、そもそも無から有を生み出すことは人間にしかできない。

 

機械ができることを機械にやらせ、人間は、人間にしかできない創造的な仕事、機転や配慮が必要な仕事をする。これが、これからの働き方にとって大切なことである。

同感である。

 

社会貢献戦争

「最近の若者は車を持たない。」等、言われているように今の時代の若者は物欲が少ない。これは生まれたときから、何でもあったという時代背景が大きいだろう。

経済成長が全てのバブル世代とは考え方がそもそも違う。

 

では、今の若者は何をやりがいに働くのだろうか。

それは社会貢献(互恵的)であると著者は言及している。 

 

軍事競争でもなく経済競争でもなく、自分たちの利益のために他社を犠牲にしない時代

-私はこれを「社会貢献競争の時代」と呼びたい。

 金融至上主義経済は限界に来ているのは目に見えている。

世界3位のGDPを誇る日本の幸福度ランキングが低いことからもわかるだろう。

 

ただ、単純に経済成長を目指してがむしゃらに働く時代は終わった。

そして、それぞれが自分に何ができて、どう社会に貢献できるか

を考える時代がきている。

 

パラレルキャリア

最近では副業を解禁、さらには推奨する企業も多くなってきた。

クラウドソーシングのアンケートでも約45%の人がパラレルキャリアを

望んでいるという。

 

評価の基準が、貨幣から評価へ移っており、一つの組織だけに所属し、

働くだけでは「評価」を得ることが難しくなってくるからだろう。

 

また、パラレルキャリアには以下のメリットがあるという。

・ライフワークを見つけることができる

・他者への直接的な貢献による「喜び」を感じることができる

・起業の準備ができる

・新しい人間関係を構築できる

 

まさにこれからの社会貢献時代にぴったりの働き方である。

 

【まとめ】

ロボットの進化により、誰でもできるような単純作業は機械に奪われる。

そこで残るのは、人間にしかできない仕事だ。では、人間にしかできない仕事とは?

 

それは「考える仕事」だろう。

 

どうすれば世の中がよくなるか?どうすれば周囲の人の役に立てるか?

一人一人が考え、一人一人の答えがある。そんな個の時代がやってくる。